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TALK SESSION スポーツウエアと西陣織。衝撃のコラボはどのようにして実現したのか?

  • 株式会社 細尾 細尾 真孝

    株式会社 細尾
    細尾 真孝

    元禄元年(1688年)創業、
    細尾の12代目。

  • ミズノ株式会社 河村 篤

    ミズノ株式会社
    河村 篤

    デザイナー。
    今回のコラボ企画の立案者

  • ミズノ株式会社 松下 進也

    ミズノ株式会社
    松下 進也

    企画担当。
    本田選手との折衝も担う。

  • Vol.1 出会いから、プロジェクト始動へ
  • Vol.2 歓喜と困難を重ねて
  • Vol.3 世の中を変える邪道への挑戦
  • Vol.1 出会いから、プロジェクト始動へ

始まりは1通のメール。本気感のあるミズノと西陣織の組合わせが魅力だった。

  • ミズノ株式会社 河村 篤

    ミズノ株式会社 河村 篤

    河村
    まず、きっかけは僕ですね。
    細尾
    そう、河村さんです。
    河村
    ミズノがジャパンというテーマで商品を開発しようということが決まって、どうせ作るなら本物が作りたいと思って、いろいろネタを探していたときに、HOSOOを知って、メールをさせていただきました。
  • 細尾
    そうですね。これまでファッションブランドとコラボレーションすることはありましたが、スポーツメーカーというのは初めてでしたので、どうなるか全然想像がつかなかったです。ただ非常に興味はありましたね。
    河村
    いきなりミズノですって送ったんですよね。
    細尾
    ミズノという名前は知ってましたが、どういうカタチでお役に立てるのかなって、最初イメージは湧かなかったです。
    スポーツメーカーというとテクノロジーとか機能というところが頭にあって、どこにコラボレーションできるポイントがあるのかという疑問もあり、そこがワクワクしていた部分でもありました。
  • 河村
    僕もメールを送ったあと、かなりワクワクしていました。
    細尾
    スポーツメーカーはいくつかありますけど、ミズノとなると実直というか、ものすごく本気感があるじゃないですか。
    良い意味でちゃらくなくて。そこと西陣織という組合せも魅力でした。
    そのあと河村さんと会って、話しをして、これは何かできるかもしれないって気になりましたね。
    河村
    で、何か開発していきましょうという話しにはなったんですけど
    細尾
    もちろん方向性は定まっておらず、これはいろんなアプローチがあるなあと思いましたね。

西陣織には、言葉では伝えられない良さ、すごさがあった。

  • 河村
    デザインチームで来させていただいて、どんなものができるのかなってところを探っていたんですけど、実は価格を聞いて、ものすごく引いたんです。
    普段使ってる100倍くらいの値段でしたので…。で、一回会社に持ち帰って、そういうのを受け止めてもらえるようなカテゴリーはどこかというところからスタートして、スーパースターチームの松下にやろうと声をかけたんです。
    松下
    そうです、そうです。聞いたとき、どんなものができるか想像できなかったので、とりあえずやってみよう、やってダメなら見送ればいいしという気持ちでした。
    実際に河村に連れられて、HOSOOに来てみると想像していたものとは全く違っていた。まず細尾さんが…笑
    細尾
    老舗の強面の若旦那を想像してました?
    松下
    はい。頑固で堅いイメージです。でも、会うとすごいフランクで…。
    で、これまでに作られた生地をいろいろ見せてもらったとき、すごいなあ、すごいけど、これスポーツアパレルにどうやって生かせるのだろうみたいなところで、その時は終わりましたね。
  • ミズノ株式会社 松下 進也

    ミズノ株式会社 松下 進也

    河村
    社内に持ち帰って説明するんですけど、臨場感が伝わらないんで、そのすごさがわからないんです、だからスタッフにはとりあえず行こうって、それからスタートしましたね。
    松下
    本当にそうだね。僕もチームのみんなにそのすごさを伝えようとするんだけど、言葉でなかなか伝えるのが難しいので『これすげーんだよ、とにかく見てよ』って感じで伝えていきました。
  • 細尾
    そうですよね。なかなか一言では、言えない部分が多くて。
    うちの西陣織の場合は、準備工程も含めて約20の工程を経てその一工程に一人のマスタークラフトマンが担当して、織り上がるまでに20人のスペシャリストの手を渡ってできあがるんです。
    この京都の西陣という10km圏内のエリアのなかに代々、箔って素材を作る職人さんとかそれを切る専門の方がいたり、糸の染めのスペシャリストがいたり、そういう方がみんなファミリーで代々やってきている。
    そうやって何百年も続いてきたからこそのものでもありますので、なかなか説明しづらいです。なので、現場に来ていただいたのは、ありがたかったです。
    株式会社 細尾 細尾 真孝

    株式会社 細尾 細尾 真孝

クラフトとテクノロジーをどう融合させられるかが課題だった。

  • 細尾
    ただ、今回ミズノさんとコラボするにあたっては、そのような伝統というだけではなくて、いまの最新の西陣織ってなんだろうっていう部分を意識しましたし、クラフトとテクノロジーをどう合わせていくのかを意識しました。
    普通、西陣織はシルクなので、家では洗えないんですが、それをもう一回素材から見直して、織り方も含めて見直したなかで、西陣織なんだけど洗えるものを生み出すっていう新しいこともやっていきましたね。
    松下
    作っていく過程で、僕らは西陣織で何ができて、何ができないかが、わからないわけですよ。だから、とにかくやりたいことをすべて細尾さんに伝える、こういうことがしたい、こういう柄が見せたい、こういう仕様にしたい、これやったらダメかなとか、無理かなとか、そういうことも全部わからないから、とにかくぶつける。
    それを細尾さんがうまくカタチにしていってくれるました。
  • 河村
    僕らはスポーツメーカーなので、スポーツ視点で考えるとやはり機能性は必要だ、通気性は必須だ、硬すぎるとだめ、洗えないとだめ、ということになるんですよ。
    その条件のなかでどういうものが作れるのかっていうディスカッションをしながら、柄はこんなイメージで、こういう意匠を持たせて、でも古くさくしたくはないからカモフラージュ柄にしたいとか、わがままを言う。
    で、散々言ったあとお任せしますって帰って、後日見に来るって感じでモノ作りは進んできました。
    安心して任せられる技術を持った細尾さんだから、それができたわけですけどね。
    松下
    西陣織でいろんな柄をのせていくと、何層にもなっていくので、通気性を持たせるっていうのは相反することで難しいんですよね。
    でも、柄としては3つの柄を見せたい、でも通気性は絶対に必要だ、僕らはやり方はわからないから、そう言うだけ言って、あとは細尾さん、お任せしますって…。
  • 細尾
    要望もいろんな要望が飛んできましたけど、やり方に関しては任せていただいていたので、こちらとしても、そういう意味では自由にやらせていただきましたし、僕ら自身も手を動かし、いろんな実験をして…最終形はこれですけど、これ以外にもいろんなアプローチを試したうえで、この生地に行き着きましたね。
    河村
    最終的には、ほんとにいい生地を完成させていただきました。

こんな贅沢なスポーツウエアは他に絶対にない。

  • 細尾
    ちょうどこの話しをいただいたとき、別のプロジェクトがあって、150cmの幅のテキスタイルが織れる織機を開発したんですよね。
    その織機は世界でうちだけのオリジナルなんですけど、今回それが使えたんですね。
  • 河村
    タイミングがすごく良かったんですね。
    細尾
    それを使えたから透け感、抜ける部分と抜けない部分を、全部織物の技術でやってるんですよ。
    織物の縦糸と横糸をひっかけて、ねじることで隙間を作っていく、いわゆる夏物の「紗」という帯を織る技術なんですけど、その織機を使うことで150cm幅のテキスタイルのなかに、「紗」の製法を取り込むことができた。
    それで通気性と美しさを兼ね備えることができたんです。
    河村
    それ以外にも結構、わがまま言いましたよね。
    細尾
    和柄を入れたいとか、ゴールドを入れたいとか。
  • 河村
    しかも本金じゃないとだめだとか。
    細尾
    そうなんです、これほんとに贅沢なんですけど実はこのウエア、表からは一切見えてこないんですが、裏側から見ると金の糸が渡っているんです。
    この糸に、本物の金を貼ったものを織り込んであるんですよね。
    まあこういう部分でしたり、あとはカモフラージュの柄のなかに細かい和の地文様が織り込まれていて、一見すると全然、和の要素はなさそうに見えるんですけど、ディテールには、和の要素が忍び込んでるんです。
    みなさんのこだわりもあって、ほんとにこれまでにないものができたと思いますよ。

できあがったウエアに込められた思い。
そして、完成までのそれぞれが乗り越えた困難。
話は次回へと続きます。
Vol.2 歓喜と困難を重ねて

できあがったウエアに込められた思い。
そして、完成までのそれぞれが乗り越えた困難。
話は次回へと続きます。

  • Vol.2 歓喜と困難を重ねて
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